耽美なる日記

耽美で幻想的なものを愛する人間が綴る駄文でございます。興味をお持ちになったらコメントしてくれると嬉しいです。

5月7日

自分の好きなものを他人に押し付けてはいけないと分かっているはずなのに、今日もそれで自己嫌悪に陥ってしまった。そのコンテンツの良さを知ってほしくておすすめしているから、感想が期待していたものと違うと落ち込む。

先週もこんなことがあった。私は邦楽だとポルノグラフィティがいっとう好きだから、最近見つけたお気に入りの曲を友人に聞かせた。直後にサビは?と言って、10秒ぐらいで〇〇とは趣味が合わないわーって。別にいいけどさ。

閑話休題

日本の耽美文学を代表する作家谷崎潤一郎の作品はどれも目眩がするほどのエロティシズムと葛藤に溢れていて最高というほかない。

"誰も彼も挙って美しからんと努めた揚句は、天稟の体へ絵の具を注ぎ込むまでになった。芳烈な、或は絢爛な、線と色とがその頃の人々の肌に躍った。"

(谷崎潤一郎"刺青"より)

"検校の墓石に手をかけてその石の頭を愛撫しながら夕日が大市街の彼方に沈んでしまうまでは丘の上に低徊していた"

(谷崎潤一郎"春琴抄"より)

耽美を甘受するのは簡単だけれど、造り手側はインモラルとも捉えられることをあくまでも美として昇華しているのだから感慨深い。半道徳的なことへの憧れなのか、非日常へ誘う使者のような概念だからかは上手く言葉に表せないけど、耽美というジャンルが私を惹き付けてやまないのはその追求されたうつくしさが根底にあるからに違いない。